10年のキセキ(28) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

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★今日のベビメタ
本日5月7日は、2016年、フィラデルフィア公演@Electric Factoryが行われた日DEATH。

■武漢ウイルス関連データ
●累計
・世界 感染確認者3,613,931人>死者455,107人
・日本 感染確認者15,354人>死者543人・退院4,918人・要入院11,876人>重症308人
●10万人当たり    
・世界 感染確認者46.84人>死者    3.32人
・日本 感染確認者12.14人>死者    0.43人
出典:厚労省「新型コロナウイルス感染症の現在の状況について」(5月6日12:00現在)

2014年3月2日、日本武道館「黒い夜Legend “Dooms Day“~召喚の儀」が行われた。
昨日曇天だった天気は、午後になってついに崩れ、氷雨が降り出し、気温は5℃前後まで下がった。
2日目に雨が降るのは、BABYMETALではお馴染みのパターンである。
セットリストは以下のとおり。
1.    BABYMETAL DEATH
2.    いいね!
3.    君とアニメが見たい
4.    おねだり大作戦
5.    4の歌
6.    No Rain No Rainbow
7.    紅月-アカツキ-
8.    Catch Me If You Can
9.    ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト
10.    ギミチョコ!
11.    悪夢の輪舞曲
12.    メギツネ
13.    イジメ、ダメ、ゼッタイ
14.    ド・キ・ド・キ☆モーニング
15.    ヘドバンギャー!!(SU-が銅鑼を鳴らす)
~召喚の儀~(三人が棺桶に入ってヨーロッパへ飛び立つ)

前日披露されなかった「君とアニメが見たい」と「No Rain No Rainbow」が加わり、全15曲。つまり、BABYMETALのオリジナル楽曲すべてが演奏された。
神バンドは前日同様、Leda(下手G)、BOH(B)、青山秀樹(D)、大村孝佳(上手G)。


「紙芝居」が「残された時間はあとわずか」と告げる中、「BABYMETAL DEATH」が始まる。

ステージと客席が対面する普通の舞台設定ではないため、スクリーンにロゴが大写しになるのではなく、武道館全体に「♪ダダダダダダダッ、ダダダダダダダッ」というイントロが鳴り響き、バンドブース後方の階段から三人がゆっくりと降りてきて定位置につくという形。観客は両手を上げて「ウォイ!ウォイ!」と叫び続け、ヒートアップしていく。ギターのメロディで三人がXポーズをとって動き始めるまで、実に1分15秒。
前日のスカートが黒を基調にしていたのに対して、今日のスカートは赤で、SU-の右肩には赤いフワフワがついている。初日「赤い夜」=Red Nightが黒基調、二日目「黒い夜」=Black Nightが赤基調というのは、東京ドームでも同じ。Kawaiiとブルータルのコントラストを際立たせるのがBABYMETAL流なのだ。
「キーン」という機械音で武道館全体にキツネ様の「結界」が引かれたあと、セトリは「いいね!」「君とアニメが見たい」「おねだり大作戦」「4の歌」「No Rain No Rainbow」と進む。


前半は、どちらかといえば「アイドル仕様」だったが、マントをつけたSU-が板付きのまま暗転し、次の「紅月-アカツキ-」のイントロが始まり、SU-が「アカツキだー!!」と叫ぶと同時にパイロの炎が上がると、ライブはにわかにエクストリームな雰囲気に突入する。
間奏部、黒いARROW7を持つLeda神とピンクラメのSNAPPERを持つ大村神が客席を煽りながらステージに飛び出してくる。静と動のコントラストを見せる二人のツインギターのハーモニーはあくまで美しい。
続く「Catch Me If You Can」では、前日に引き続き「神バンドソロ」が披露され、超絶テクニックと、Kawaiiのコントラストが描かれる。「ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト」「ギミチョコ!」を挟んだ「悪夢の輪舞曲」でも、再び神バンドソロの「Mischief of Metal Gods」が披露された。
エクストリームな雰囲気を残したまま「悪夢の輪舞曲」が終わると、観客席に赤いサーチライトが照射され、この世のものと思えない雰囲気になっていく。
花道のスッポンから登場した三人が合掌しながら中央ステージに登り、「メギツネ」が始まると、会場は「ソレ!ソレ!ソレ!」「ワッショイ!ワッショイ!」の大合唱となった。
「赤い夜」のセトリが、3曲目まででBABYMETALのすべてを表していたとすれば、「黒い夜」はラスト3曲でBABYMETALの運命を表していたといえる。
前日、1万人の観客が三人の絆を目撃したフィニッシュ曲「イジメ、ダメ、ゼッタイ」は、欧米ツアーでもフィニッシュ曲であり、Sonisphere 2014では6万人のメタルヘッズをノックアウトした。
その原点は、やはり小学校5年生と中学1年生だった三人のデビュー曲「ド・キ・ド・キ☆モーニング」にある。
そして、幼い三人が「メタルの女神」へと成長するテーマ曲が「ヘドバンギャー!!」だった。
花道には一夜のうちにすべて黒い手すりが設けられている。YUIとMOAが花道で「もっともっとー!」「聞こえないよ!」と煽るたび、昨日のことが頭をよぎるが、二人はそんなことはお構いなしのようだった。
曲の終わり、「操り人形」をやめた三人がクタクタと崩れ落ちるとステージ中央に巨大な銅鑼が出現し、三人を乗せると2メートルの高さにせり上がる。そしてSU-はLegend “1997“に続いて、銅鑼を鳴らした。


BABYMETALのライブにおいて、銅鑼は新たな段階を迎えたことを示している。
暗転後、中央ステージに三つの棺桶が浮かび上がり、黒い神秘的なガウンをまとった三人がスポットライトに照らされた。「召喚の儀」である。
女性ナレーターが、英語で「Dooms day…The time has come.」と告げる。
BABYMETALは世界進出する。「召喚の儀」とは、そのイニシエーションであり、「残された時はあとわずか」とは国内活動をしばらく休止するという意味だった。
この時点でLady Gagaのツアー参加は決まっておらず、ヨーロッパというだけで詳細なスケジュールは5月8日のTrailerで公表されることになる。それを紙芝居では「YUIMETAL and MOAMETAL聖誕祭 in Europe」と表現した。
女性ナレーターが、「Scream and Dance MOAMETAL」、「Scream and Dance YUIMETAL」、「…and Vocal and Dance SU-METAL」とコールするたび、それぞれ一人ずつ棺桶の中に入っていく。


「You must leave now, it is time to depart.」という言葉をきっかけに、三人を乗せた棺桶が空に飛び立っていくイリュージョンが披露された。

その瞬間、女性ナレーターが「BABYMETAL, Say Goodbye to Japan」というと、最後の「Japan」が「Japan…Japan…Japan…」と無限エコーで繰り返された。
棺桶の底が開いていることは、『Live at BUDOKAN』の映像で確認できる。棺桶の上昇とともに、三人はスッポンからステージの下に降りただけだし、数度に渡る欧米ツアーの前後には国内でのライブも行っているので、BABYMETALが国内のファンの前からいなくなってしまうわけではなかった。
だが、このイリュージョンには大きな意味があった。
最後の「Japan…Japan…Japan…」は、「世界進出」を目指して再結成されたX-Japanが、2008年3月に行った東京ドーム3日間公演「攻撃再開2008 Ⅰ.Ⅴ.~破滅に向かって」の2日目「無謀な夜」のオープニングで、「Forever Love」の後、英語の女性ナレーションで「X…Japan…Japan…Japan…」と無限エコーが響き渡った瞬間へのオマージュである。
同時に、古参メイトには、2012年1月19日、「Kawaii Girl Japan」に初出演した当時小6と中2だった三人が、Women’s Power 20th Anniversary出演コメントの終わり際に「カワイイ、ガール、ジャパン…ジャパン…ジャパン…」と画面からハケていく姿が思い出されただろう。

この動画で、「ド・キ・ド・キ☆モーニング」MVの反響について、YUIは「日本以外で、重音部の曲を色んな国の人たちに聴いてもらえてうれしかったです。もっと、他の国の人にも聴いてもらえるように重音パワーでがんばります」と言っている。
また、SU-は“新曲”の「イジメ、ダメ、ゼッタイ」の聴き所として、ゆいもあちゃんの掛け声(=Xジャンプ)が「お気に入り」だと言い、MOAは「走ってるときとか、お客さんも後ろで一緒に走ってくれて超カオスだよみたいな」と言っている。
そして、三人は「今年はこのキツネポーズを広めていきたいと思います」「ます!」と言い、「以上、BABYMETALでした。See You!」と言ったあと「ジャパン…ジャパン…ジャパン…」とハケていくとき、なぜか、両手の人差し指と親指で四角を作る“ギミチョコポーズ”をしているのである。
これは、当時は考えられなかった世界進出の「予言」ではないか。
https://www.youtube.com/watch?v=EXnMrqMqTyA

 

KOBAMETALは小学生の時、聖飢魔Ⅱでメタルを知り、中高生の頃はX-Japanの大ファンになった。
X-Japanが解散した1997年12月にSU-METALが生まれ、聖飢魔Ⅱが地球征服の「任務を完了」した1999年にYUIMETALとMOAMETALが生まれた。
2008年3月、「世界進出」を目指して再結成されたX-Japanの東京ドーム公演で「Japan…Japan…Japan…」が響き渡った。おそらくKOBAMETALはそれを見ていたのだろう。
その1年後の2009年3月、可憐Girl’sの「任務完了」コンサートで、バラエティ班に異動したKOBAMETALは「少女メタル歌劇団」を構想した。
2010年11月、その構想を実現するためにさくら学院に重音部が結成され、2012年1月の「Kawaii Girl Japan」で、重音部の三人は“ギミチョコポーズ”で「ジャパン…ジャパン…ジャパン…」と画面をハケた。
2013年1月、サビが“Xジャンプ”の「イジメ、ダメ、ゼッタイ」でメジャーデビューしたBABYMETALは、正月の書初めで「地球征服」+「世界進出」=「世界征服」を宣言した。
国内ロックフェス修行の末、BABYMETALは史上最年少での日本武道館「赤い夜」「黒い夜」を実現した。この「~夜」というタイトルも、X-Japanへのオマージュに他ならない。
両手で四角い形を作るポーズをサビにした「ギミチョコ」MVの世界的人気を背景に、BABYMETALは初の欧米進出を果たす。その門出の瞬間、日本武道館に「Japan…Japan…Japan…」が響き渡る。
さらにいえば、この時にはまだ誰も想像できなかったが、2年半後の2016年9月、BABYMETALは東京ドーム2日間公演「Red Night」「Black Night」を実現し、2020年の今、日本中、世界中ののべ200万人が「世界の終わり=パンデミック」に怯えながら、その映像を見た。
この壮大な円環を成すような言葉やポーズや出来事のつながりは、偶然の一致なのか。それとも生まれる前から決まっていた「キツネ様の計らい」なのか。
ただ一つ言えるのは、この「BABYMETAL神話」が恐ろしいほどのリアリティを持つに至ったのは、プロデューサーのKOBAMETALや振り付けのMIKIKOMETAL、SU-METAL・YUIMETAL・MOAMETALのメンバー、そしてチームベビメタと呼ばれるスタッフの方たちが、明日が見えない中で感じた想いを眠らせず、日々の努力を積み重ね、すべてを織り込んで、夢見た未来を実現したからだろう。
神は計画するが、実行するのは人間である。
「♪今日が明日をつくるんだ そう、ぼくらの未来On the Way」という「Road of Resistance」の歌詞は、日本武道館で、すでに胚胎されていたのだ。
(つづく)